乱華Ⅰ【完】


「すみませんでした」



暫くして言葉こそは丁寧だけど、ちっとも悪いと思っていないであろう奏多さんの声が聞こえたと同時、私の視界も開けた。



「…………、」



おぉぅっ…
目の前の2人。
蓮と奏多さんはいわゆる特攻服なるものに身を包み、私を見下ろしている。



どこか威圧的に見えるのは、その黒い特攻服効果、かな…



「久々に着ましたね」


「だな。こんな傘下全部で走る事自体滅多にねぇしな」


「そうなの?」


「そうだよ」



私の質問に蓮が答え、2人はそのままずっと無言だった碧を引っ張り、この部屋を後にした。



部屋の主がいなくなり、私には1つの疑問だけが残った。



「……颯人?」


「なんだ」



タバコを指に挟んだまま、ゆったりとした動きで、部屋に置かれたそれを手にした颯人。



黒地の特攻服、だと思うそれ…


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