乱華Ⅰ【完】


いや、なんだじゃなくてさ。



「なんで今日、暴走するの…?」



気になる。
蓮が言う通りに、傘下で走る事自体滅多にないのなら、その意味は?



真意は、何?



「お前の歓迎会みたいなもんだ」


「…私?」


「あぁ」


「…………、」



歓迎なんて言われたら、普通はどう反応するんだろうか。
…私にはわからない。



ただ無言で颯人を見やれば、ポンポンと頭を撫でた颯人。



「着替えてくる」



頭から手を離した颯人は少し口角を持ち上げて、特攻服片手に部屋を後にした。



「…………」


「…………、」



無言。
タクは煙草をフかして、紫煙を吐くだけ。



「…タクは、着替えないの?」


「あ?……あぁ着替えるわ」



タバコを灰皿に押し付けて、徐に脱ぎ出すタクは、さっき私に恥じらえなんて言ってたくせに自分はいいんかい。



「…おい」


「は?」


「…手伝え」



タクはサラシを私に手渡し「巻け」命令してくる。


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