乱華Ⅰ【完】
「今日、陽炎大丈夫か?」
碧が一番気にしていた事を口にする。
まぁそれは誰もが思っている事だろうが。
俺も気には、なる。
あの陽炎がこんな絶好のチャンスを逃すなんてありえねぇからな。
「大丈夫か?じゃなくて大丈夫にするんだよ」
ニヤリ、口端を持ち上げた正宗は得意のシニカル顔。
お前、怖ぇよ。
一体何考えてんのか、よくわかんねぇ。
一番敵に回したくないタイプだ。
「…大丈夫にする、とは?」
奏多が先を促す。
吸っていたタバコを指で弾いて、正宗をジッと見据えた。
「白虎と白亜を見張りに付ける。絶対に乱入させねぇ様に、な」
「…どうやって」
「嘘の情報二重に流した。それで多分、俺らのコースには来ない。ま、来ても白虎と白亜に足止め食らう」
「ふーん」
策士だな。お前は。
正宗の考えを聞いた碧が緩いウェーブがかった黒髪をうざったそうにかきあげて
「あの女、本気で本間に喧嘩売ったのかよ?」
信じられねぇ。
そんな表情をする碧。