女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~



「あのね、私はもう斎には興味がないの。だから申し訳ないけれど、あなたの恋愛相談には乗れないわ。忠告は出来るけど」

 ・・・忠告?と小林さんは小さく呟いて、乗り出していた身を椅子に戻す。

 私は息を吸い込んで、ゆっくりと言った。

「実は、私たちが終わったのはこの5月のことなの。他の人には春先だと言ってあるんだけど」

 彼女が目を見開いた。意味がわかったのだろう。

「百貨店の人から、あなた達は去年の冬から付き合っていると聞いた。確かに、去年の冬から私とは会う回数がぐんと減ったの。要するにあの男は浮気をしてたのよねあなたと」

「・・・・そんな。だって、守口さんは彼女は居ないって」

 当たり前だけど、ショックを受けたのだろう。元々悪かった彼女の顔色が更に悪化した。

「ええ、そう言ったでしょうね。彼にとっては私は大事ではなかったようよ。むかつく事に、最後に私に会った夜に、あの男は私のことを家政婦呼ばわりしたんだから。2年5ヶ月付き合った男からそう呼ばれて、怒りのあまり気を失うかと思ったわ」

 実際は、喧嘩した挙句に睡眠薬をパクッて飲んで入院したおバカな私なんだけど、なんて勿論言わない。

「か・・・家政婦!?」

「そう。でも無理ないかもね。・・・あなたいくつ?若くてぴちぴちの女の子と浮気していて、30歳の女は魅力がなかったのよね、きっと」

 比べるまでもない。目の前の清楚を絵にかいたような女の子を見ていたら、私だって彼女を選ぶ。

 自嘲気味にそう笑うと、そんなことないです!小川さんはお綺麗です!と声を上げたから驚いた。


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