女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
「・・・・あいつに何かプレゼント貰った、とかない?結構高価なものとかを」
私はため息をついて口を開く。自分で振った話だし、仕方ない。彼女は可愛らしく小首を傾げる。
「・・・・指輪も・・・デートも、豪華なのを・・・してくれました。春頃、そういうことはなくなったんですけど、先月くらいから、また会うと派手にお金を使って・・・」
言いつつ、ハッとしたようで、まさか、と口元を押さえた。
「・・・・そのお金、たぶん私の貯金なの」
「!!」
目が大きく見開かれる。私はその瞬間、かなり彼女に同情した。マトモな神経の持ち主ならば、二股をかけられたあげくに片方の女の金を使って自分にプレゼントして貰っても嬉しくはないだろう。
私の目の前にいるのは、その点、かなり常識的に育てられた娘さんのようだった。
「まあ、盗られた私にも落ち度はあるんだけど。だけどここに仕事に来てみたらあの男がいたから、顔を合わせた時に私のお金を返せと責めたのよ。・・・つい、最近」
あらゆることを省いて簡潔に話した。ヤツのせいで2回も事故死しそうになったことなど言えないし、私が暴言を吐きまくりだったことも秘密だ。
彼女はやはりかなりのショックを受けたようだった。しばらく無言だったけど、そのうちに顔を上げてそれっていくらですか、と聞く。
「あなたには言えないわ。あなたが悪いのではないもの」