女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
多分ね。心の中で付け足した。売り場で一番若い彼女は、きゃああ~と喜んでその場でピョンピョン跳ねていた。こらこら、お客様から丸見えです、とたしなめる。
馴れ初めを、是非!と言うのを、先に在庫でしょうとスルーして、さっさとノートを持ってストック置き場に向かう。
やれやれ・・・。倉庫に歩いていきながら、マーケットを見回す。
姿は見えなかったけど、出勤だったのかな。売り場にいないということは裏で魚を捌いたりしてるのかな。
一緒に飲んだ昨日、鮮魚売り場の業務内容を聞いていた。かなり多岐に渡り、驚いたものだった。
捌いたり積んだりで常に触るから、俺、魚臭くない?と笑っていた。
倉庫に入り、自分の店が使っている棚の前でノートを開く。トラウマになってしまっていて、ここに来るたびに、思わず頭上をチェックせずにはいられなかった。
周囲をやたらと確認してから倉庫に入る、まさしく変な女だ。
商品ごとに数を数えて書き込んでいたら、足音が聞こえてヒョイと顔を上げた。
「おい、これ」
立っているのは斎だった。確かに疲れた顔をして、いつも輝いて見える美男子が今日は迫力がほとんどない。
手にした白い封筒を私の方へ差し出していた。
「・・・・・何、これ」