女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
封筒の中身をちらりとみると、確かに諭吉さんが沢山入っていた。そのまま数えずにエプロンのポケットに落とす。
・・・詮索はやめよう。私には関係ないし。少なくとも今は、そんな時間もないし。
うん、と自分に頷いて在庫チェックに戻った。
倉庫を出ると、売り場にまっすぐには戻らずマーケットの鮮魚売り場の前通ってみた。すらっとした大きな背中を探す。しかし、夕方でマーケットはお客様でにぎわっていたから、結局姿は見つけられないまま売り場に戻った。
・・・・終わったあああ・・・。
午後8時半、本日の勤務が終了し、ロッカールームに置いてあるベンチに座ってしまった私は、そこから動けないでいた。
あああ~・・・・もう、ここで寝てしまいたい。着替えるまでは、他の人々に混じって流れるように出来たけど、一回座ってしまったら凶器のように眠気が襲ってきた。
一瞬でも目を閉じたらそのまま10時間ほどは眠ってしまいそうだ。
ううう~・・・でも、何とか帰らないと・・・。明日は休みだし、昼過ぎまで眠れる身分じゃないの!と自分に叱咤激励を繰り返す。
それに今日は大金まで持っているのだ。無事にこれを持って帰って、銀行に入金せねば。
疲れたような暗い斎の顔が瞼の裏に浮かんだ。
・・・・絶対、普通の方法でない気がする。このお金の出所。
思考の深みに嵌りそうなのを自覚して、よっこらせと体を起こした。