女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~

 3日振りに出勤したデパ地下では、『ガリフ』の元店長、守口斎に関しての話はタブーとされていた。

 斜め前の『ガリフ』には新しい女性の店長が就任していていつも通りに営業していたけど、斎のファンで顧客になっていた女性達の足が遠のいたためか売り上げが激減していて大変だと聞いた。

 お客様は店にきて、斎がいないことをすると回れ右をして帰るらしい。・・・恐るべし、愛嬌よしのイケメンの営業力。

 本当に、あらゆる意味で迷惑なヤローだぜ。


 出勤するなり福田店長がお目目をキラキラさせて、私ちゃんと出来たかしら、小川さんの言ってたのは、鮮魚の桑谷さんね?と迫ってきて笑えた。

 私はにっこりと笑って頷く。

「店長のお陰で、彼を手にいれることが出来ました」

 そう言うと、一体どういうことなのー!?と興奮して更に迫ってきて面白かった。

 かなり説明を端折ったけど、少し心配をかけれたお陰で彼の気持ちがちゃんと判り、恋人になれました、と言うと、それで満足したようだった。

「鮮魚はここの売り場から見えるもんねえ~・・・そうか、やっぱりこんな事もあるんだと思えば、毎日の化粧も気が抜けないわね」

 とカラカラ笑う。

 そして、いきなり真面目な顔になって、こそっと私に耳打ちした。

「守口さん捕まったわね。百貨店の名前が出るからと、今回はお金を出した社員さんたちが個人で訴えるように方針が決まったらしいわ」


< 267 / 274 >

この作品をシェア

pagetop