pianissimo.
「怪我……してる」


私の太腿の、スカートで隠しきれない滲んだ赤に視線をやり、彼女は酷く不安げに呟いた。赤の他人の私に、こんな風に親身になってくれる彼女が不思議で仕方がなかった。



そして――

とても綺麗な顔立ちに思わず見とれてしまう。



多分、年下。どこか幼さを残した丸みを帯びた輪郭の中に、くるんとした真っ黒な瞳が優しい光を放ち、スッと通った形の良い鼻、美しいほどに整った眉毛、程よい膨らみのプルンとした唇は微笑ましいほどに可憐。


テレビで毎日のように目にする人気女優やアイドルと比べても、全く引けを取らないほどの美少女だ。



「あ、ううん。大丈夫、ありがとう」

えへへと照れ臭さを笑ってごまかし、無理矢理に立ち上がる。ズキリ、右のお尻が痛んだ。どうやらここも強打していたみたい、と今更気付く。



「消毒します。来てください」

ほんの少し遅れて立ち上がった彼女は、私の手を取って引き留める。


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