pianissimo.
驚いて、「え? いっ、いいよ、だ、だ、だいじょぶ……」と、たどたどしい日本語で断ったけれど、私の手をグイグイ引きながら道路を横断する彼女の歩みは、抵抗する意欲を喪失するほどに力強い。
いましがた飛び出して来たばかりの扉を、彼女は再び開ける。彼女の肩ごしに見えた室内は、玄関を上がってすぐに六畳ほどの部屋があり、みっしりと大量の生活物品が詰まっているけれど、見栄え良く綺麗に整頓されている、そんな印象だった。
あったかい家庭の生活空間。そんな風に感じて、怪我の痛みも忘れて気持ちがふんわり和む。
「お兄ちゃーん。前の道路で女の人、怪我してたー。消毒してあげてー」
目の前の部屋に隣接している、襖で閉ざされた奥の部屋に向かって少女は叫んだ。
え? 美少女さん、あなたが手当て、してくれないの?
しかも『お兄ちゃん』って……。見ず知らずの男性に、こんなデリケートな部位を消毒してもらうなんて、正直、嫌なんですけど。
でもそれを口にする勇気がなくて。というか、彼女の厚意を踏みにじるなんて、私には出来なかった。
いましがた飛び出して来たばかりの扉を、彼女は再び開ける。彼女の肩ごしに見えた室内は、玄関を上がってすぐに六畳ほどの部屋があり、みっしりと大量の生活物品が詰まっているけれど、見栄え良く綺麗に整頓されている、そんな印象だった。
あったかい家庭の生活空間。そんな風に感じて、怪我の痛みも忘れて気持ちがふんわり和む。
「お兄ちゃーん。前の道路で女の人、怪我してたー。消毒してあげてー」
目の前の部屋に隣接している、襖で閉ざされた奥の部屋に向かって少女は叫んだ。
え? 美少女さん、あなたが手当て、してくれないの?
しかも『お兄ちゃん』って……。見ず知らずの男性に、こんなデリケートな部位を消毒してもらうなんて、正直、嫌なんですけど。
でもそれを口にする勇気がなくて。というか、彼女の厚意を踏みにじるなんて、私には出来なかった。