pianissimo.
すぐにライガは、傘を持っていない方の私の左腕を、手探りで探して捕まえると自分の腰に巻き付けた。


こんなところを学校の誰かに目撃されでもしたら、それが彼女の耳に入ったりしたら、と。そんなことを考えるだけで、申し訳ない気持ちで一杯になる。



「レインコート、袖もベチャベチャなのに……。ライガの学ランも濡れちゃう」

「もう濡れてる、手遅れだって」

ライガは何でもないことのように言って、可笑しそうに声を漏らして笑った。



「ごめんね」

「なんで? あそこで凜子先輩に会ってなかったら、どっちみちビショ濡れだったし。チャリ乗せて貰えただけラッキー」

弾むように軽快な口調でライガは言う。


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