たいむ あうと。
男は目を大きくして亜子を見た。
「どこのもんだ?」
この時代は誰かのもとにつくのが普通。
しかし亜子は答えなかった。
「…」
「威勢のいい姉ちゃんだな!!」
男がまた笑い始めると、亜子は隙を見て逃げた。
「おいっ!!逃げるな!!」
男がすぐに追ってくる。
亜子はとりあえず走ることだけに没頭した。
しかし、行き着いた先は行き止まり…。
「何でこういうときに限って~!!」
後ろを振り返ると、男が亜子を探しているのが見えた。
駄目だ、今日までか…と思ったときだった。
「こっち」
「え?」
横を見ると、塀の中から誰かが顔をちらつかせている。
逃げるのに精一杯だった亜子は、その指示通りに動いた。
小さな隠し扉に入ると、目の前に屋敷が広がっていた。
男は通り過ぎていった。
「ありがとうございます」
亜子は微笑んでお辞儀をした。
そこには、同い年であろう見た目の少年がいた。
紫をおびた綺麗な髪色で、顔立ちが綺麗だった。
亜子は思わず見とれてしまう。
ー少し、龍様に似てる。
「…」
「あっ!!すいません!!」
少年は亜子を見つめると、何故男に追いかけられていたのか聞いてきた。
亜子は事情を説明し終わると少年に帰りの道を教えてもらい、屋敷へと帰った。
「ちょっと亜子!!何してたの?」
「ごめん、ちょっと色々あって…」
美加は亜子が帰ってくると報告があると言って、作戦部屋に呼び出した。
そこには少し怪我をした悠と楓がいた。