蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜趣味?〜‡

「とりあえず、そのナリをどうにかしろ」

そう言われて連れてこられたのは、ラダが現在生活している小屋だった。
小屋とは言うが、ちょっとした別荘並みで、家具や設備もきちんと整っている。

「またどこぞのお姉さんに貢がせたんですか…?」
「んっだよっ。
お姉さんじゃねぇよ。
貴族の奥方だ。
問題ねぇだろっ」
「問題でしょう…。
…変わりませんね…」
「コロコロ変わってたら俺じゃぁねぇだろ」
「態度は人によってコロコロ変えてるのによく言う…」
〔みみみむ〜《だめだめね〜》〕
「何だって?」
「別に…」
〔み〜《なにも〜》〕

本当に変わらない。
放浪しては、貴族の婦人に取り入って貢がせる。
だから、各地に別邸の様なものがたくさんあると”クウル”に聞いた。
ラダはいつも突然ふらっといなくなる。
突然だ。
荷物も持たずに出かけて、何ヵ月も戻って来ない。
だが、戻って来たラダは、手荷物をいっぱいにして帰って来るのだ。
宝石だったり、食べ物だったり、お金だったり。
だから出会ったばかりの頃は、出稼ぎに行っているのだとばかり思っていた。

「ほれ。
これに着替えろ」
「…これ…女物ですよ…動きにくいと思うのですが…」
「動けるだろ。
裾が気になるのか?
ヒラヒラして良いと思うぞ」
〔みみ〜ぃみみむ〜《かわいい〜ひらひら〜》〕
「いや…この服の可愛さは認める…認めます…っが、必要ないかと…」
「メチャメチャ必要だ。
俺は可愛い女の子しか隣りを歩かせんと決めている。
お前は美人だが、可愛さが足りん。
それくらいの服を着て調度イイ」
「…そうですか…」

もう相手にするのも面倒くさい。
思い返せばラダはこう言う人だった。
お土産の中に、必ず私用の服があった。

「よく着せ替え遊びしましたね…」
「おう。
お前は着飾る事をしなかったからな。
せっかく見た目は良いのに。
…本当にお前は…っ。
ッ何で俺が用意した服を着んのだッ。
あんなにやったのにッ。
袖を一度通して誰かにやってただろッッ」
「あ〜ぁ、やりましたね。
可愛い女の子達に」
「着ろよッ」
「だから、私が着るより似合う子達にあげたんです。
私は、動きやすい男物の方が好きですし」
「まさかっ今もかッッ」
「?ええ。
あちらの世界の男物の服はお洒落ですし…女の私が着ても違和感がない…っどこ行くんです?!」
「煩い!
さっさとお前は着替えておけ!」


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