Do you love“me”?



「もしもし? 美月ちゃん?」

「うん! 何か、声聞くの久し振りかも!」

「確かにそうかもー」

「なかなか電話出来なくて、ごめんね」

「いやいや! それはお互い様だから!」

携帯の向こうから聞こえる、稜君の少し笑ったような声に、ベッドの上でお腹にポーキーを乗せたままゴロゴロしている私は、ニンマリと怪しい笑みを浮かべる。

稜君の声を聞いたのは、二週間振り。

私は年末に向けて仕事が忙しくて、稜君は出場試合数が増えて、なかなか、タイミングが合わずに時間だけが過ぎてしまった。


「最近どう? 変わりないー?」

「うん! 相変わらずだよー。毎日バタバタ走り回ってる!」

「そっかー。じゃー、俺と一緒だね!」

「あははっ! 私と稜君じゃ、走り回ってる量が違い過ぎると思うけど」

「どうかなー? わかんないじゃん!」

いつだって、私の心に優しく響く稜君の声。

その声を聞いただけて、仕事での疲れなんて一気に吹っ飛んでしまうから本当に不思議だ。


「稜君は変わりない?」

いつもと同じように、“変わりないよー!”なんて、そんな返事が返ってくると思って、口にした質問。


だけど、稜君から返ってきたのは、

「あー……うん! まぁね」

そんな微妙な返事で。


「稜君?」

「なーに?」

「何かあった?」

「へっ? 何でー?」

“何で”って……。


「いや、何か微妙な返事だったから」

私の“変わりない?”という質問への彼の言葉が、何だかすごく、歯切れが悪く聞こえたんだ。


「そう? 普通だよ! 別に何もないしー」

「……なら、いいけんだど」

そうは言ったものの、やっぱり何だか引っ掛かる。

だけど、そんな私にはお構いなしに、稜君はいつもと同じテンポで話題を変えていく。


「それより、来月やっと逢えるねー!」

「あー、うん! 楽しみ!」

来月、日本でA代表の試合があって、一時帰国する稜君と航太君。

もちろん、おねぇーも航太君と一緒に帰国予定。
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