バーチャル歴史的愛情故事
政宗に手を引かれ、宴が開かれている大広間に向かうとすでに中からは大きな騒ぎ声が聞こえてきた。
「俺たちを置いてもう始めているとはな」
「皆さん…お酒が好きみたいですね…」
「謙信や慶次が一番酒に強い。俺も酒は好きだぞ。美濃、お前はどうなんだ?」
「私は…たしなむ程度なら…」
本当は酒は大好きな美濃。
その代わりすぐに酔ってしまうのだ。
失態を見せないためにも、たしなむ程度、と伝えておくことにした。
「ほう、では飲めなくはないのだな」
「少しだけ、ですよ」
無理やり笑顔を作って見せた。
「お!政宗!遅いぞ!」
「申し訳ない」
「俺たちすでに酔ってるんだぜ?」
「では俺たちも仲間に混ざるとしようか」
「…………はい」
部屋の中はたくさんの料理が並んでいた。
「こいつらを紹介しよう。あれが慶次、となりが幸村、そのとなりが三成だ」
「「「うぃーす」」」
紹介された3人は声を揃えた。
「は、はじめまして…」
「あっちにいるのが光秀と謙信」
「また会ったね、美濃」
「はい」
「なんだお前ら、もう知り合いか?」
「はい、先ほどお会いしました」
「そうか。ならあいつらの恋愛事情は話さずともわかるみたいだな?」
「…………はい…」
美濃は頬を赤らめて答えた。
「この時代は、男色が多い」
「…男色?」
「男と男が愛し合うことだ」
「……………////」
思わず耳まで赤くなる美濃。
「何せ、女性があまり居ないからな、自然とそうなるんだろう」
「…はい…」
「さて。俺たちも乾杯しよう」
「…はい」
徳利を傾け、美濃のお猪口に酒を注ぐ政宗。
「乾杯。素敵な夜にしよう」
「……はい、…乾杯…」
こうして宴は再開した。