僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「好美、来るなら電話くらいしなさいよ、今日は早番だから良かったけど、遅くなる日もあるのよ」
居間に入るなり、弘美さんはそう言った。
「だって、ちょうど時間があったし、思い立った時でもないと、なかなか来れないし。それに、ママに借りたいものもあったから」
「借りたいものって?」
「それより、何? あの人。下宿人とか言ってたけど」
「嗚呼、孝幸君? そうよ、昨日から家に下宿することになったの」
「ママ、ママだって一応、独身の女性なのよ。男の下宿人って、どうなのよ?」
「あら、男じゃなきゃ、いざという時、頼りにならないじゃない」
「何それ……」
「女の一人暮らしは、無用心だなって思ってたとこだったし。夜、物音がしたりすると、ママだって心細いし。男の人がひとつ屋根の下に居るってだけで、なんか心強いじゃない」
「そんなに一人暮らしが心細いんなら、家に戻ればいいのに」
「好美、またそんなこと……ママはパパと離婚したのよ」
「だって、パパ、別れたみたいよ、あの女と」
「それとこれとは話が別。ママは家政婦に戻るつもりはないの」
「まだそんなこと言って……パパはママのこと、愛してたと思うよ。ママが願うほど、熱烈じゃなかったかもしれないけどさ」
「好美にはわからないのよ」
「少しはわかるよ、わたしにだって」