僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「二人して、何笑ってるの? なんか、怪しい。あたしの悪口? それとも内緒話?」
「何言ってるの。ホラ、自分のお皿は自分で運んで」
弘美さんにカレーの皿を手渡され、彼女は渋々踵をかえして居間へと戻った。
「さっ、あたし達もいただきましょう」
一皿料理のカレーなんてあっという間に食べ終わる。
その後はまた気まずい雰囲気が漂った。
沈黙を破るように、食後のお茶をすすりながら、弘美さんが口を開いた。
「孝幸くん、君、結構、料理上手じゃない。カレー、美味しかったよ」
「ママ、カレーなんて、ルーさえあれば誰でもできるんだよ」
「あら、好美、玉ねぎだって微塵切りだったし、野菜の大きさもちゃんと揃ってた。ルーも何だかコクがあったし。ママの評価は結構高いよ」
「さすが弘美さん。わかってもらえて嬉しいな。玉ねぎは二個、みじん切りにしてよく炒めたし、ルーも二種類使ってるんです。以前料理雑誌かなにかで、『市販のカレールーも二種類合わせるとコクが出る』って書いてあるの読んだんで」
「でしょ、わかるよ」
「もう、ママったら、あたしがいくら凝った料理作ったって、そんなに褒めてくれたことないじゃない」
「好美のは、習った通りそのまま。材料だってお金に糸目はつけないしね。美味しく出来て当たり前よ」
「ま、いっか。そんなことより、あたしママに借りたいものがあったんだった」
「何? またアクセサリー?」
「そう、よくわかるね。ホラ、ママが持ってたハート型のダイヤのペンダント。あれ貸してもらえないかな」
「嗚呼、あれ。いいわよ。ちょっと待ってて」
弘美さんはそう言って席を立った。