僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「はい、ゆっくり、少しずつよ」
やっと彼女の方から盆が戻されてきた。
僕は、雑炊をじっと見つめると、木杓子を手にとった。
言われたように、軽くひとさし雑炊をすくい、ゆっくり口に入れる。
ほのかな米の甘みと、きのこの香りが口に広がった。
(嗚呼、これでもう一日生き延びられる)
ただ、そう思った。
一口一口を噛み締めながら、ゆっくりと雑炊を吞み込んだ。
ゆっくり食べたはずなのに、雑炊はあっと言う間になくなった。
「まだ、足りないとは思うけど、一度に食べないほうがいいと思う。ちょっと休んだら、行きましょう」
彼女は、一緒に注文したカフェオレをまだ半分ほどしか飲んでいなかった。
時間が気になるのか、何度も携帯の画面で時間を確認し、数分後、彼女は落ち着かない様子で伝票をつかむと立ち上がった。