僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
少し動いたせいか、先ほど腹に入れたおじやが粗方こなれたようだ。
僕は、また新たな空腹感に襲われていた。
(嗚呼、畜生……)
図々しい自分に呆れて、腹を押えた。
「はい、これ」
目の前に手が差し出された。
ゆっくりと開かれたその手の中を見る。
そこには紙に包まれたキャラメルがひとつ乗っていた。
僕は無言でその包みを受け取とった。
「ちょっと食べると、余計お腹すくよね。でも、東京駅まではこのキャラメルで我慢して」
彼女はそう言うと、一、二歩下がって、僕から遠ざかった。
僕はゆっくりと紙包みを開いて、キャラメルを取り出した。
丁寧につまんで口に運ぶ。
懐かしい甘さにホッとした。
残った包み紙をクシャリと握りつぶしてポケットに突っ込む。
と、その時、ポケットの底に触れる硬い塊に気がついた。