僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「で、つぎに、今あなたが、お腹が減ってるってとこなんだけど」
僕は頷くかわりに、ごくりと唾を飲み込んだ。
「あなた、この一週間、ろくに食べてないって言ったでしょ。だから、本来なら、病院行って点滴うつなりして、栄養を補うのがいいと思うの。それができないなら、きちんと休めるところで、重湯とかおかゆから食事をはじめないと、多分身体が受け付けないと思う。
つまり、今堪え切れずに馬鹿食いすると、戻したり、お腹痛くなったりするってこと。
これから電車に揺られて何時間も移動しなくちゃいけないのに、そんなことになったら困るでしょ」
「はい……」
頭では分かっていても、気持ちが止められない。
定まらない視点をなんとか彼女に集めて、僕は一言付け加えた。
「大曲に着くまでの辛抱、ってことですよね」
「そうよ、わかってるじゃない」
彼女は厳しい口調ながら、口元に笑みを浮かべて呟いた。