僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
夜十時。
ほぼ僕の計算通り、駅から歩いて二十五分ほどのアパートへ、僕はやっとたどり着いた。
二十三区内で、中央線沿線のわりに格安なこのアパートは、駅から遠いことだけが難点だ。
築三十年の木造アパート。
六畳にキッチン、トイレ、風呂付で月五万。
それでも僕にとっては、大曲でお袋と暮らした古い県営住宅に比べれば、数段綺麗で快適な、狭いながらも楽しい我が家だった。
僕は入口の郵便受けを覗きこむ。
夕刊と小さく折りたたまれた何枚かのDMとダイレクトメール。
そして、一通の薄緑の封書に目が留まった。
派遣元の中央設計からの封書だ。
(給与明細にしちゃ、時期が早いな……)
僕は、妙な胸騒ぎがして、その封書を手に取ると乱暴に封を剥がした。
玄関の鍵を開け、明かりを点ける。
靴を脱ぎ、弁当の入ったコンビニの袋を狭いキッチンの机の上に置き、中から折りたたまれた手紙を取り出した。