青空ライン *Third Story*



「おはよう。」



リビングに行くと、キッチンにいるお母さんに無理矢理明るい声を出して言った。



「おはよう、やっと起きてきたわね。



朝ごはん冷めちゃうからその前に食べちゃって。」



そう言われてテーブルに視線を向けて見ると、イチゴジャムののった食パンにサラダ、スープが用意されていた。



「はーい。いただきます。」



あたしは手を合わせて朝ごはんを食べ始めた。



「あっ!杏は寝てたから分かんなかっただろうけど昨日優くんが家に来てくれたのよ。」



楽しそうに話すお母さん。


…知ってるよ。



だってはっきりと言えるくらいちゃんと起きていたから。



部屋に来たことも



涙を拭ってくれたことも


キスをして行ったことも


全部全部さっき起きたことのように鮮明に覚えている。



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