しだれ桜の木の下で
翔は数秒黙るとただ一言言った。
「綾が来てくれたから」
もう、二度と来ないと思ってたから、すっごい嬉しいんだよ。
そう言った声は本当に嬉しそうだけど、信じられなかった。
「…………顔上げろよ、これが腹立ててる奴の顔か?」
翔がそんなこと言うもんだから、恐る恐る顔を見る。
そこにあったのは優しい微笑み。
ただただ喜びしか伝わってこなかった。
曇ってる部分なんてどこにもない。
純粋な笑顔。