しだれ桜の木の下で
「……………あんなこと言ってごめん」
「ん。 別に怒ってなんかないんだけどな」
翔は苦笑すると自分の横を叩いた。
「?」
「ここ、座れば?」
それに従って私は翔の隣に腰掛ける。
「………、この桜いつ咲いたの?」
その問いに翔は答えず曖昧に微笑むばかり。
代わりに、「この桜見たかったんだよ、2人でさ……」とポツリと言われた。
舞っている花びらを慈しむように眺める翔を見てドクンと心臓がなった。
翔の身体がもう薄っすらとしか見えなくなっていたから。