さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―



「総司にそこまで言われたんじゃ仕方がねぇ。今日のところは見逃してやる。」





はぁっとため息を一つはいて、土方さんはお許しをくれた。





良かった!





沖田さんと目を合わせて微笑みあう。





「ただーし!」





土方さんは、にやりと笑った。





「次はねぇからな。」




そう言って刀に手を伸ばした。






不屈な笑みに背筋がゾクッとする。





「はは…縁起でもないこと言わないでくださいよ。」






「そうですよ、土方さん。」





私たちはと言うと、思わず苦笑しながら屯所に逃げるように戻って行った。





「そう言えば、烝が帰ってきていたぞ!」





その言葉を聞き取ることなく。



< 294 / 308 >

この作品をシェア

pagetop