さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
「それじゃあ、私は失礼する。」
甲子太郎はむっくり立ち上がり、一度こっちに振り返った。
思ったより、身長高いんだな。
「甲子太郎、ありがとう。」
俺の言葉に満足そうに微笑んで彼はふすまを閉めた。
甲子太郎は親父の弟に似ている気がする。
そのせいか、現代を思い出して胸が痛んだ。
「さぁ、どうしようか・・・。」
甲子太郎やその御陵衛士達に不安そうな態度をとらずとも内心俺は焦っていた。
あずはどこにいる?
俺が意識を取り戻した時隣にあずはいなかった。
周りを見渡しても見当たらなかった。
あずに会いたい。