Vrai Amour ~咲子の場合~
その後、私は恵の配慮で無事、朝比奈と入籍することができた。
朝比奈はその後も執事を続けるということで、敷地内の朝比奈の家で暮らしている。
30年経って、ようやく手に入れた幸せ・・・・
退院してしばらくは家に篭もっていたけれど、いってきますとただいまのキスが愛しい。
駿は照れていたけど、私がせがんで毎日してもらうようにしたのだ。
もうそう若くはないのに、初めての恋人のように甘く優しい時間が流れていく。
そして、もう1つどうしても叶えたい夢があった。
「え?」
それを打診したときの駿の顔は、本当に真っ赤で
本当に40後半の男かと疑うくらい可愛かった。
「で、でも・・・ちょっと自信、ないな・・・」
「どっちの?」
「ち、父親になる自信はあるさ!!」
駿はムキになって答えた。
相変わらず顔は真っ赤だ。
「咲子と子供を幸せにしてやる自信だってある」
あぁ・・・駿を好きになって本当に良かった。
その言葉を聞いて、私はやっぱりそう思った。