漆黒の黒般若
「あっ、斎藤さん。おかえりなさい」



「あぁ、ただいま。今日は遅くなるから先に寝ていていいと言っておいたのに…」



「あー、はい。すみません…眠れなくて」



「はぁ、小さい子供のような事を言うんだな。では、今夜もあんたが寝つくまで話しに付き合ってやる」



「ありがとうございます。あっ、そういえば今日新しくお友達というか、話し相手が出来たんですよ!」



「ほう、それは良かったな」


布団から出した顔は満円の笑みで足をばたつかせる楠葉の様子からよほど嬉しかったことが伺える


「はいっ。新しい隊士の楠さんなんですけど」


「ん?楠?あんたあいつと知り合いか?確か前、俺にやつの合否を聞いたよな?なにか気になることでもあるのか?」



「い、いえ…。ただ彼が似てるんです、裕に。
性格とかは結構違うところが多いんですけど話してるとなんだか昔を思い出したりして…」



「どのくらい似てるんだ?」


「え?えっと…、顔と声はほとんど一緒です。まぁ性格とか中身は全くの別人ですけどね…」



「…そうか、しかし向こうは新人だ。覚えることもたくさんあるし、当分は忙しくなるだろう。だから楠の邪魔はしてやるなよ」



「はい」


そうだよな…
この屯所で暇なのはあたしだけか



少し寂しかったけれど彼の邪魔をするのは嫌だった




そう考えているうちに楠葉は眠りについていった



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