星の見えない夜
彼女は赤い唇の端を満足気にひいた。
白い手をまっすぐ頭上へのばして、彼女は天を指差す。
「空を見てみて。
何が見える?」
つられるように視線を上げた。
暗黒に目をこらす。
先の見通せぬ闇の奥。
わずかに光るものが1つ、2つ。
「オリオン座」
3つ。
連なる星が目に入った。
その両脇に、鼓型にならぶ4つの星が輝いている。
見上げた黒い空間の中心に、視界の端に、
少しずつ、白い光が満ちていく。
俺は輝く夜の天蓋へ手をかざした。
「それから、冬の大三角」
かざした手指の間から、光芒がもれてくる。
それから、と俺は冬の大三角の中心へ手を伸ばした。
星座のあいだで、小さく大きく光る星々。
探せば探すほど、星の数は増えていった。
俺の知る星座よりもずっと多くの星が見える。
たいして澄んでもいない空で、これだけ多くの星を見たのはいつぶりだろう。
「目がなれてきたんだね」
心なしか、彼女の声ははずんでいた。
白い手をまっすぐ頭上へのばして、彼女は天を指差す。
「空を見てみて。
何が見える?」
つられるように視線を上げた。
暗黒に目をこらす。
先の見通せぬ闇の奥。
わずかに光るものが1つ、2つ。
「オリオン座」
3つ。
連なる星が目に入った。
その両脇に、鼓型にならぶ4つの星が輝いている。
見上げた黒い空間の中心に、視界の端に、
少しずつ、白い光が満ちていく。
俺は輝く夜の天蓋へ手をかざした。
「それから、冬の大三角」
かざした手指の間から、光芒がもれてくる。
それから、と俺は冬の大三角の中心へ手を伸ばした。
星座のあいだで、小さく大きく光る星々。
探せば探すほど、星の数は増えていった。
俺の知る星座よりもずっと多くの星が見える。
たいして澄んでもいない空で、これだけ多くの星を見たのはいつぶりだろう。
「目がなれてきたんだね」
心なしか、彼女の声ははずんでいた。