イジワル先輩の甘い恋の魔法
「ゴメン……余裕なかった……」
真新しいダブルベッドの上で、黒崎先輩が私の頭を撫でながらそう言った。
私は何も言わずに首を左右に振る。
「なぁ?」
「ん?」
「姫子の両親に挨拶に行かないとなぁ……」
「えっ?親には私から話すからいいよ」
お母さんには電話で結婚すること、同棲することは連絡はしていた。
「そういうわけにはいかないだろ?大事な娘を嫁にもらうんだよ。電話だけで済ますのはダメだろ」
「でも……」
実家に帰ったら兄嫁がいる。
また何を言われるかわからない。
「兄ちゃんの嫁さんに何を言われるか心配?」
「……うん」
「俺が一緒だから大丈夫だろ?もし何か言われても俺が言い返してやるよ」
黒崎先輩はそう言って私の手をギュッと握ってきた。
「今度の休みに行こう。行くこと伝えといて?」
「わかった……」
私はそう言ってコクンと頷いた。