イジワル先輩の甘い恋の魔法



事務室に戻っても、まだ17時まで5分ある。


帰る用意をしていいと言われたけど、終業時間は17時までだから5分前でも学校を出るわけにはいかない。


だから私は自分の椅子に座った。


静かな事務室にパソコンのキーボードを叩く音だけ響く。


時々、聞こえる話し声。


あと1分。


この1分が長く感じる。


何度も何度も時計を見る。


時計の長い針が12に動いた。



「宮崎さん?これにサインをお願いします……」



17時になり、私はタイムシートを持って宮崎さんのところへ行った。


宮崎さんは無言で、ハンコを押して私にタイムシートを返してきた。



「お先に失礼します」



事務室中に聞こえるようにそう言った。



「お疲れ様でした!」



そんな声が次々聞こえてきて、それだけで嬉しくてなって事務室を出る時は自然と笑顔になっていた。




< 32 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop