イジワル先輩の甘い恋の魔法
玄関から校門に向かって歩く。
「おーい!姫……」
後ろから黒崎先輩の声が聞こえ、私は立ち止まり黒崎先輩の方を睨みつけるように見た。
白衣を脱いだ黒崎先輩は濃紺のスーツを着ていた。
黒崎先輩はビックリして、言葉を途中で切る。
てか、さっき階段の上にいたのに、もう下りてきて私に追いつくなんて早くない?
「あ、えっと……。高原?」
「何でしょう?」
「車、取って来るから待っといて?」
車?
飲みに誘ったくせに車?
犯罪の片棒なんて担ぎたくない!
「だから私は行きませんよ?」
「そんなこと言わずに、なっ?ここで会ったのも何かの縁だし」
こんな縁なんていらない!
「黒崎先輩なら他の人を誘えば喜んで行ってくれるんじゃないんですか?」
「俺は姫ブーと飲みに行きたいの」
「次、姫ブーって言ったら殴りますからね!」
私はそう言って歩き始めた。