イジワル先輩の甘い恋の魔法
「俺の話を聞けよ」
「…………はい」
「俺、実は高校の時から高原の事が好きで……」
そこまで言うと黒崎先輩は少し照れたように笑った。
「…………嘘」
「嘘じゃねぇよ」
「じゃあ、何で……」
“姫ブー”って変なアダ名で呼んだり、人の事をからかったりしたの?
「ほら、好きな子ほどイジメたくなるって言うじゃん?」
「何ですか、それ。私があの頃、どれだけ悩んでたか……。まぁ、黒崎先輩の暴言のおかげでダイエットしたんですけどね」
「ゴメン……。高校卒業して、大学行って、就職しても高原の事が忘れられなかった。他の女と付き合ったりもしたけど、でもやっぱり高原が忘れられなくて……。うちの学校に派遣で来て、体育館裏で会った時には神様はいるんだと思ったよ」
「黒崎先輩……」
胸がさっきよりもドキドキしてる。
止まっていた涙が再びポロポロと零れ落ちた。