イジワル先輩の甘い恋の魔法
「お前がイジメられてんのを見たくねぇんだよ。辛いのに必死に笑顔作って無理して、そんなの見たくねぇよ……」
黒崎先輩は最後の方は吐き捨てるように言った。
涙と鼻水で化粧も落ちて顔もグチャグチャで、それでも涙が止まらない。
「でも仕事も辞められない、実家にも帰れない。だから俺の嫁になって仕事を辞めろ。お前1人と子供2人くらいなら余裕で養ってやるよ」
「そんなカッコイイこと言って、あとで、冗談でしたとか言うんでしょ?」
「言わねぇよ。言うわけねぇだろ?こんな俺だけど、今すげードキドキしてるんだからな。ほら、ここ触ってみろよ?」
黒崎先輩はそう言って、胸を指差した。
私は黒崎先輩の胸に手を当てる。
ドクドクと早く脈を打ってる心臓の鼓動が手の平に伝わってきた。