イジワル先輩の甘い恋の魔法
体温計の電子音が聞こえ、黒崎先輩は体温計を看護師さんに渡す。
「36度5分、平熱ですね」
看護師さんがバインダーに挟んだ紙に書いていった。
「黒崎さんの彼女?」
看護師さんは私の方を見てそう言った。
「そう、彼女ってか、嫁か」
黒崎先輩はそう言って笑う。
「嫁?黒崎さん、結婚してたんですか?」
「いや、これから嫁になる人」
「いいですね。幸せそうで」
看護師さんはそう言って病室を出て行った。