彼女志願!
「それって……たとえばどういう?」
首をかしげると、穂積さんはきっぱりと口にした。
「全力で大事にします」
一瞬、息を飲む私。
全力で大事にするって……
それって本気にしていいの?
「でも……飽きませんか? っていうか、飽きると思います……」
「いえ、飽きません。小学生の時に買ってもらった万年筆、今でも手入れをして大事に使ってます」
「――」
その言葉を聞いてまた複雑な気持ちになったけれど、穂積さんが大事にしているものなら、それはただの『万年筆』ではなく『穂積さんの万年筆』だ。
彼の思い出がたっぷりつまった、気持ちのこもった『モノ』に違いない。
「思えば僕は、そういう風に人に執着するのが怖かったのかもしれない」