彼女志願!
――――……
「で。このセシルという名前の押し掛け執事は白い蛇で、魔王の化身なんです。身を売るしかないほど落ちぶれてしまった男爵令嬢は、美しい執事に手ほどきをうけて、皇帝の愛妾になるために、王宮にあがります」
「ええ。それで?」
「ですがいきなり皇帝の側にはいけないので、途中、何人かの男をたぶらかさないといけないんです。まず、第一の男が、王宮の騎士で――」
腕が触れそうになる距離で、ソファーに並んで座る私たち。
ネタノートを広げ、ぐりぐりと印をつけながら説明すると、それを見ている隣の穂積さんが、時々質問をしてくる。
最初は無駄にドキドキしちゃったけど、仕事の話をしていると、そのことにしか頭が回らなくなった。
だって、穂積さんの質問がすごく鋭いんだもの。
私が感覚で書いているところを、きちんと指摘して、方向づけてくれる。
さすが翡翠社でも一、二を争う有能編集者って作家仲間の中で言われてるだけある。
すごく頼もしい。