彼女志願!
「もちろん主人公はそんなこと気づいてないですよ。だけど、賢い蛇にはそれがわかっていて……」
「わかっていて、『生活のためだろう』と誘惑する……」
「そうなんです」
「悪い蛇ですね」
くすり、と笑う穂積さんは、眼鏡を外す。
素顔の穂積さんは、眼鏡をかけているときよりも、美形ぶりがわかるというか、若いっていうか。
ちょっとドギマギしちゃう……。
端正な中にある、男の人独特の色気に、あてられそうになる。
「穂積さん……」
「なんですか?」
彼は頬を傾け、そっと私の唇を盗む。
「――」
蛇のモデルは穂積さんなんですって、のどまで出かかったのを飲み込んだ。
そんなこと、彼はとっくに承知しているに違いないから。