彼女志願!
「ええ……実はそうなんです。万年初版作家だし……重版かからない作家なんて、いていいのかなって……」
『重版=お金を刷るようなもの』という方程式を知っている作家としては、やっぱり一度でいいから重版してみたいわけで……。
あはは、と笑う私。
そんな私を見て、穂積さんは長いまつ毛を伏せ、考え込むそぶりを見せたけれど。
すぐに顔をあげ、私の手をテーブルの下で握り返してきた。
「――実はまだ、凛先生にお知らせすべきではないのですが」
「はぁ……」
「昨日の営業会議で、先月発売された『翡翠の王子』のシリーズ化が決まりました」
「――えっ!?」
「重版がかかる予定です。年明けですがね」