彼女志願!
「なに、萌。どうしたの?」
お母さんがこそこそとささやきあう私たちを見て、テーブルの上に身を乗り出す。
「あ、えっと……こないだ書いた私の本が予想外に売れたから、また続きが出せるってお話」
自分で言って、変な汗が出た。
思わずごしごしと手のひらを膝でこすっていた。
「――よくわからないけどすごいの?」
「すごいことですよ、お母さん」
穂積さんがにっこりする。
「売れたって……家が建つの?」
どうも小説家というと、100万部売れたとか映画化とか、そういうごくごく一部のヒエラルキーの頂点の売れっ子作家さんを連想するらしい。