彼女志願!
それを聞いて、勝手に穂積さんは都会っ子だと思っていたから、少し意外だと思った。
けれど同時に、ああそうなんだろうなぁ、と納得する部分もあった。
瀬戸内海は、本州、九州、四国に囲まれた内海だ。
複雑に絡み合った地形と歴史。
穂積さんという複雑なキャラクターから、その香りを感じたのかもしれない。
「塩を作り、漁を生業とした小さな島です。そして本家は、その島一帯を治める地主です」
そして穂積さんは、遠くを見るような目をして言葉を続ける。
「急な坂の上に本家はあります。村を見下ろす場所です。ちなみに僕は、長女の長男で、元はと言えば、相続権などないのですが……」
「が……?」