彼女志願!
「本来の跡取りである長男の息子が、ミュージシャン目指して家を飛び出すような放蕩息子だったため、僕に跡継ぎの座が回ってきそうなんです」
「えええっ……!」
やっと、穂積さんの悩みがわかったと同時に、想像の斜め上な問題に、唖然とした。
だって跡継ぎって……
穂積さんまだ20代なのに!?
「あの、穂積さんのご両親とか、その、放蕩息子のお父さん……長男が継ぐものじゃないんですか?」
「残念ながら、当主である祖母は、我が子が大嫌いでしてね」
そこで穂積さんは深くため息をつき、こてん、と私の方におでこを押し付ける。
「え……」
「僕の母である娘も、本来の跡取りである長男にも跡を継がせないと、大騒ぎで」