彼女志願!

我が子が大嫌いって……

いったいなんなの、穂積さんの実家……。



「そうは言っても、息子や娘には違いないので、あの人たちでも、法が定める遺産を、確実に受け取ることは可能です」

「はぁ……」

「けれど新見(にいみ)家の遺産は、そういったものではありません。『当主の座』こそが本物の財産なんです」

「本物の財産?」

「ええ。要するに、簡単に言ってしまえば『人脈』です。この世の中で想像のつくたいていのことはどうにかなる、そういう力を発揮できる『人脈』です」



そして穂積さんは、また何度目かのため息をつく。



これは……重症かも。



なんとか落ち込む彼を励ましたくて


思わず明るい声で仕様のないことを口にしていた。




< 446 / 648 >

この作品をシェア

pagetop