彼女志願!
我が子が大嫌いって……
いったいなんなの、穂積さんの実家……。
「そうは言っても、息子や娘には違いないので、あの人たちでも、法が定める遺産を、確実に受け取ることは可能です」
「はぁ……」
「けれど新見(にいみ)家の遺産は、そういったものではありません。『当主の座』こそが本物の財産なんです」
「本物の財産?」
「ええ。要するに、簡単に言ってしまえば『人脈』です。この世の中で想像のつくたいていのことはどうにかなる、そういう力を発揮できる『人脈』です」
そして穂積さんは、また何度目かのため息をつく。
これは……重症かも。
なんとか落ち込む彼を励ましたくて
思わず明るい声で仕様のないことを口にしていた。