彼女志願!
穂積さんはユズさんの家から少し離れたところに車を停めていた。
そして私を助手席に乗せ、車を走らせる。
穂積さんが言うように、本家は村を見渡せる小高い山の上に位置していて
辺りを鬱蒼とした松林に囲まれた、大豪邸だ。
カラスが立派な枝ぶりの先に止って『カァ!』と鳴いている。
夕日も少しずつ落ち始めて、山の端やお屋敷の屋根をオレンジ色に染めていた。
なんなのこの雰囲気!
映画みたい!
こわいよー!!!!
「横溝の世界ですね……」
プルプルしつつ車から降り、周囲を見回すと
「まぁ、確かに古いですよ。その分人の思いが積み重なって……澱のようにたまっている」
穂積さんは私の肩を抱き寄せ、そのまま裏へと向かった。