彼女志願!
「――あれ、鴻上先生ですか?」
穂積さんが口を開くと同時に、そばにいた二人の社員が、驚いたように目を見開く。
二人とも知ってる。営業さんだ。
「はい。鴻上です。いつもお世話になっています」
「いやいや。いつもわりとカジュアルだから、見違えましたよ~」
「遠目にもね、きれいな人がいるけど誰だろうって、思ってたんですよ。なぁ?」
「うんうん。そうですよ。いやーびっくりした」
あからさまなお世辞なのはわかっていたけれど、普段まったく褒められないから、すごく嬉しかった。
「いや、そんな。いつもがひどすぎますから」
えへへ、と笑いつつ、私を無言で見下ろす穂積さんが気になる。
やっぱり声かけちゃまずかった……んだろうか。
勝手に見ているときは、ただそれだけで楽しかったのに。
彼の眼差し一つで、不安で胸がつぶれそうになる。