彼女志願!
「――真一君、その……女性は?」
御親戚に違いない、初老のおじさんがおずおずと穂積さんに尋ねると、穂積さんはにっこりとほほ笑んで、
「東京から呼び寄せました。僕の婚約者、櫻井萌さんです」
と、微妙にウソをついた。
私、呼び出されてないし……勝手に来ちゃっただけだし……。
と思っても、何を言えるわけでもない。
ただ黙って成り行きを見守ることしかできない。
「婚約者……!?」
「はあ!?」
「おい、お前、聞いてたか?」
「まさか、そんな、本家が許したわけでもないのにっ……」
「いやだがしかし――もしかしたら当主が」
一瞬静けさを取り戻したはずの広間が、また蜂の巣をつついたような大騒ぎになる。