彼女志願!
お礼を言って、そこに座らせてもらった。
「――」
穂積さんは無言で刻みタバコを煙管の先(確かあれは雁首という、はずだ)に詰め、煙草盆でくすぶっている火にそれを近づける。
黒い着流し、純銀製の煙管。
普段はスーツ一辺倒のくせして、異常に色っぽいというか、あだっぽいというか、まぁ、とにかく絵になるものだから、私の脳内ではまた妄想が暴走して、ひどいことになっていた。
そうだ、次のお話は、この穂積さんをモデルにした絵描きの話を書こう。
色っぽくて艶っぽくて
意地悪な元華族の日本画家。
そして彼と無理やり結婚させられる……商家の娘との恋のお話を――
カンッ……--
穂積さんが持っていた煙管を煙草盆に叩きつける。