彼女志願!
ハッと背筋を伸ばしたのは私だけじゃない。
ザワザワしていた広間が、その瞬間、シン、と静まり返った。
「――先祖代々、新見ではこうやって、当主の死後十日間、宴を催すのが習わしだった。この宴もまた、長年の慣習によって催されたものである。
また、宴最終日の今日、遺言執行者によって、遺言者、新見房江に代わり、遺言を執行する」
遺言者の新見房江さんっていうのが、きっと穂積さんのおばあ様のことよね……。
穂積さんは、テーブルの端に腰を下ろしていた、初老の眼鏡の男性に視線を向ける。
「遺言執行者は、弁護士である真田さんです。皆、心して祖母の遺言を聞いてください」
その声に呼応するように、弁護士さんが立ち上がり、胸から立派な巻紙を取り出した。
「遺言書。遺言者、新見房江は、次の通り遺言する」