彼女志願!
「――凛先生」
じらすように、大きな手が、私の頬を包み込み、それから指先で、髪をすいていく。
「俺は、自分のものを他人にさわられるのがイヤなんです」
「へ……?」
あ。今、俺って言った……。
相変わらずの敬語だけど。
ドキドキしながら、無言で穂積さんを見つめる。
「小さい頃からそうでした。おもちゃ、文房具、本、なんでも、家族にだってさわらせたくなかった」
「はぁ……」
「あなたもそうですよ、凛先生」
穂積さんは、一度私から目を離すと、床に置いてあったデジカメを手に取った。
そして器用に、液晶画面に昨日撮った写真を表示させる。
「あ……」
そこに映っているのは、肩を抱かれて目を丸くしているアホ面の私と、松田さん。