アタシの人生に華が咲く
―――『じいちゃんたちはな、毎日駄菓子や、鯛焼きを買いにくるお客さんの笑顔が、たまらなく好きなんだ。だから定年前にサラリーマン辞めてこの店を始めたんだ』―――
―――『そうそう、10円握りしめて慎重に駄菓子を選んでるこどもたちがかわいくてねぇ』―――
あぁ、そうだった。
『私、継ぐわ』
躊躇なく自分の口から出た言葉だった。
当然おじさんたちも会話をピタッと止めて口をあんぐりとあけている。
『つ……継ぐって小巻ちゃん、あなたまだ学生でしょ?無理よ……ねぇ?』
親戚たちがお互いに顔を見合わせて困惑した表情を浮かべている。
『学校辞めます。別に将来なりたい目標とかないし』
『辞めるって、そんなことじいちゃんたちは望んでないと思うぞ』
『そうよ、高校は出ておいた方がいいわ』
『じゃあこれからの学費、おじさんたちが出してくれるんですか?家には遺産なんてものありません』
おじさんたちは一斉に口ごもってしまった。
『私は最初から、おじさんたちに迷惑かける気はありません、バイトして学費や生活費を稼ぐくらいなら、学校辞めてこの店継ぎます』
※
当時の私のあの発言は大人たちにしてみれば生意気だし、失礼だっただろう。
でも私は本気だった。